望んだ事はB

□潜入
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「市原周平は私が相手をします」

作戦を立てた時に、まず七瀬が言った台詞だ。

驚いた生徒もいたが、反論出来る者はいなかった。
神の力は神の力で対抗するしか策はない。

「倒すために行くのではないぞ。
目的は、二人の救出のみじゃ!」

学園長が念を押した。

「わかっています」

そう言って、承諾を得た。
そして、その宣言通りの作戦を実行する。

利吉は伝蔵と文次郎、仙蔵、伊作、留三郎と合流して、救出に向かう。

とその前に、

「七瀬」

名前を呼ぶ。
この際、半助の存在はないものとしている。

「気を付けて、無理はするな」

「利吉さんこそ」

言いたいことはお互いに山ほどある。
今はそれが叶わない。
だから、

「これが終わったら、話をしよう」

約束をする。

「分かりました。また、後で」

思わず、七瀬に笑みがこぼれる。
そう、自分もそれを望んでいたのだから。

闇に溶け込む利吉の背中を送り、

「土井先生、行きましょう」

市原周平に備えるべく位置に移動することにした。

利吉との久々の会話。
そして、次への約束。
心なしか、七瀬の声が明るくなったのを半助は見逃さなかった。

「集中だぞ!」

少しだけ、嫉妬心からの叱咤。

「はい!」

もちろん七瀬には伝わらず、素直な返事だけが返ってくるのだった。
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