望んだ事はB

□ハートキャッチ
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「よく分からないから、まだ怒りようがない」

るるるの特異な考え方だ。
彼女は悪く言えばへそ曲がり、そしてよく言えば、懐のでかさに繋がる。

「知りたい、それだけ」

周平の目的は何なのか。
この先、何が待っているのか。

そしてそれは、七瀬が助けに来てくれるまでに。

その想いがるるるの瞳に現れる。
大きな黒い瞳は、心の底まで読み取ろうとするかのように、周平を見つめていた。

その瞬間、

『・・・』

何かが聞こえた。
違う、頭の中に入ってきた感じだ。

女の人の声。
でも聞き取れなかった。

「な、何今の?
周平、あんた聞こえた?」

耳に手を当てながら、キョロキョロと辺りを見回す。
そして、彼に目をやると、

「ちょっ、大丈夫?」

膝をついて、頭を押さえる周平の姿。
震えている。
何がなんだか分からないが、駆け寄って肩に手を置いた。

『シュウヘイ!』

「!!!!」

るるるの体がビクッとはねた。
心臓がドクドクと音をたてる。

肩に手を置いた瞬間、まさに腕を伝って来るように、さっきの声が流れてきたのだ。
今度はちゃんと聞こえた。
彼の名前だ。
誰かが呼んでいる。
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