望んだ事はB

□大波
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七瀬と乱太郎が大波に襲われた時、兵庫水軍の船も同様の波が襲っていた。

「この状況は、小舟で出ていた義丸さんに聞きました」

土井先生が学園長に言うと、

「ということは、義丸は助かったのじゃな?」

大きく息をついた。

「海に投げだされたそうですが、兵庫水軍は全員無事です」

「そうか、流石は海の猛者じゃ」

一先ず安心し、その上で、

「うちの生徒だけが捕まったわけじゃな」

肩を落とした。

「突如市原周平が現れ、るるるを掴まえたそうで、それを止めようとしたきり丸も」

その場にいたしんべえが見ていた出来事。
これを聞き出すのには、時間を要した。

海に浮いていたところを重によって助けられ、七瀬達と再会が出来た。
しかし、そこからはずっと泣いたままで、先生達が到着するまで続いた。

「あ・・・・」

そのしんべえに目をやると寝ていた。
乱太郎と肩を合わせて、二人で寝息を立てている。

「頑張ったな」

山田先生は二人の頭を撫でると、起こさないように二人を離し、そっと仰向けに寝かせた。

「二人を布団に寝かせてやりなさい」

「しかし、学園長」

「よい!作戦は後程たてる」

「分かりました」

そう言って、山田先生はしんべえを、土井先生は乱太郎を抱き上げた。

「七瀬は、残りなさい」

「学園長!」

その言葉に土井先生が口を開くと、

「少しだけじゃ、心配するな」

優しく笑った。

「半助」

山田先生も促す。

「・・・はい」

半助はチラッと七瀬の顔を見てから、部屋を後にした。
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