望んだ事はB

□水軍
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「乱太郎、大丈夫?」

「うん」

足場の悪い水際のゴツゴツ岩。
これに身を隠しながら近付くのが、一番見つからなさそうだ。
乱太郎に気遣いなから、ゆっくりと距離を縮めていく。

偵察は二人だけ。
後はそのまま、兵庫水軍へ直行。
魚の受け取りと、ドクタケの事を知らせに行ってもらった。

七瀬は戦力にはなるが、ドクタケに妙に狙われている。
本来なら偵察班から外したいところだが、メンバー的に人選範囲が異様に狭かった。

「いつものように船の準備だけみたい」

「これが?・・・微妙」

よくこれで水軍を作ろうなどと企む。
そう口にしたかったが、ひとまず堪えてみる七瀬。

「「!?」」

二人が驚いたのは、ほぼ同時だった。
同じ人物が目に入ったからに違いない。

「市原先生・・・」

乱太郎が名前を口にした。
七瀬は、敢えて何も語らない。

騒ぎを起こして出ていった事は全生徒が知っている。
しかし、七瀬に関しては泣かされ、るるるに対して刃を向けた事までは、恐らく聞かされてはいないはずだ。

ドクタケ忍者を手伝うわけでもなく、甲板で風を感じるように立っている。
そして、

「やばい、気付かれた」

七瀬が身を隠した。

「そう?全然気づいてないみたいだけど」

「行こう!乱太郎!」

「え?わっ!」

乱太郎を抱え、岩場を来たように帰る。
ただ、来た時とあきらかに違うのはスピード。

『絶対、気付いた!』

根拠はないが分かる。
とにかくこの場所から離れるのが先だ。
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