望んだ事はB

□悪いのは誰だ
3ページ/4ページ

もう一組、目の下に隈を作っていたグループがいたりして。
in 山田、土井、市原の部屋。

「・・・」

「・・・」

姿を見れば、布団に横になっている。
しかし、伝蔵と半助は寝ていなかった。

昨夜、くの一長屋から変な音がして、慌てて駆けつけた。
嫌な予感は的中、利吉がいた。
そして、彼は何も言わずに姿を消した。

何もなかったら、そんな事をする人間ではない。
いや、それ以前に何があったのだろうか。
半助の心中は穏やかではない。

シナ先生も学園長も利吉を信頼して、くの一長屋に宿泊を認めた。

『利吉君はくのたまには何もしない』

そんな事は分かっている。
例え同じ部屋、もっと言えば同じ布団で寝たとしても、絶対に何も。

しかし、それが七瀬なら別だ。
それが、みんなには分からない。
そこに特別な想いがあることを。

でも、あの時の彼の顔。
一瞬合った視線。
ドクンと動いた心臓。

きっと七瀬が拒否をしたから、利吉君はあんな姿になったのだろう。

良かったと思う半面、利吉が気の毒だと思う自分がいる。
そして、何より七瀬に触れた利吉を許せない自分もいる。

『利吉君は悪くない。
悪いとするなら、こんな事を思っている自分』

眠れない。
次へ
前へ

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ