望んだ事はB
□悪いのは誰だ
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もう一組、目の下に隈を作っていたグループがいたりして。
in 山田、土井、市原の部屋。
「・・・」
「・・・」
姿を見れば、布団に横になっている。
しかし、伝蔵と半助は寝ていなかった。
昨夜、くの一長屋から変な音がして、慌てて駆けつけた。
嫌な予感は的中、利吉がいた。
そして、彼は何も言わずに姿を消した。
何もなかったら、そんな事をする人間ではない。
いや、それ以前に何があったのだろうか。
半助の心中は穏やかではない。
シナ先生も学園長も利吉を信頼して、くの一長屋に宿泊を認めた。
『利吉君はくのたまには何もしない』
そんな事は分かっている。
例え同じ部屋、もっと言えば同じ布団で寝たとしても、絶対に何も。
しかし、それが七瀬なら別だ。
それが、みんなには分からない。
そこに特別な想いがあることを。
でも、あの時の彼の顔。
一瞬合った視線。
ドクンと動いた心臓。
きっと七瀬が拒否をしたから、利吉君はあんな姿になったのだろう。
良かったと思う半面、利吉が気の毒だと思う自分がいる。
そして、何より七瀬に触れた利吉を許せない自分もいる。
『利吉君は悪くない。
悪いとするなら、こんな事を思っている自分』
眠れない。