望んだ事はB
□利吉の暴走
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「それにしても、よくシナ先生が許可したよね」
ふと七瀬が言った。
シナ先生もああ見えて楽しいことは好きなタイプだが、それにしても思い切ったと思う。
「実は山本シナ先生、夜から明日にかけて忍務で出張されるんだって」
お茶をすすりながら、るるるが答える。
「おっと、そろそろかな」
そして、おもむろに立ち上がった。
「実は私も今夜、会計委員会のスケットとして侍ジャパンに召集かかっています。
文次に付き合うから、徹夜コース決定なんだよね」
そう言えば、彼女は事務員の服のままだった。
「市原周平がまだ不完全な存在だから、山本シナ先生もくの一長屋を留守にするの心配されてたの。
で、利吉さんなら安心だってね!」
スチャッと敬礼。
「では、行って参ります!
利子さん、くの一長屋の事よろしくね」
スーッと静かに閉められた襖。
完全に締まる瞬間、ピタッと数センチ残して止まった。
「ちなみにこの事は、先生方は知っています。
土井先生は今頃、胃潰瘍で倒れてるかも」
それだけ言うと、ピタリと閉じられた。
廊下を歩くるるる。
鼻唄が静な夜に聞こえて来たが、心地よい子守唄としてくのたまには届いたことだろう。
「そうさ100%勇気〜♪
もうやりきるしかな〜いさ〜♪」
利子にはこの歌詞がどんな意味で届いたかは、明日聞いてみようと思うるるるだった。