望んだ事はB
□市原先生
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「まずは裏々山までマラソン!
始めっ!」
しんべえの嫌そうな声だけを残し、一斉にスタートした。
「七瀬はいいぞ」
「しんべえと同じ速さで走りますよ」
そう言って、歩き・・・走り出す。
市原周平は何か言いたそうに七瀬の顔を見たが、
「我々はゴールに向かう」
山田先生に背中を押されて、行くしかないようだった。
「山田先生、はやっ」
きり丸が風のように駆けて行った二人を見て、口笛を吹く。
七瀬には分かっていた。
山田先生は彼を試している。
自分も変わった。
きっと彼も変わる。
ここにいる限り。
ここにいたいと思う限り。
「七瀬〜。もう僕走れないよ〜」
「まだ始まったばっかだよ。
一緒に頑張ろ!」
その言葉、誰に言っているのだろう。
タイムリー過ぎて、可笑しかった。
「な、なあに?」
「何でもないよ。
ちゃんとゴールしたら、夕食のおかず一品あげるよ!」
「僕、頑張る!!!」
砂煙をあげて、しんべえが猛ダッシュしていった。