望んだ事はB
□市原先生
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市原周平のひとまずの処遇が決まった。
山田先生の助手。
つまり実技担当の教師補佐だ。
生徒でもよかったのだが、本人が勉強反対!と断固拒否した。
事務員は今のところ足りている。
いきなりの抜擢との見方も出来るが、ある意味監視付きとも言える。
山田先生に任せていれば安心だと、学園長のお墨付き。
寝泊まりも、今のところ同じ部屋。
大人が三人。
狭いが仕方がない。
本来、珍しく同年齢の友人が出来そうだと喜ぶところだが、土井先生の気持ちは複雑だった。
彼は幼い。
いや、幼稚とさえ感じる。
異世界の二十代というものは、こんなに頼りないものなのかと半助は思った。
それなのに、変なところで積極的だ。
「好きだから」
と暴露した事も、胃がチクチクする原因だ。
とにかく注意を怠らないようにしなければならない。
「じゃ、行こうか周平」
山田先生が腰をあげ、次の授業へと向かった。
「はい!」
爽やかな返事。
黙っていれば、利吉並の色男だと思う。
くの一教室で人気が出るだろう。
『まさか・・・七瀬も』
胃を押さえながら、その背中を見送った。