望んだ事はB

□るるるの望み
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「・・・・あれ?」

格好よく決まったように感じられたのは、一瞬。
何も起こらず、挙げた手を降ろしてからも、まだ時間が有り余るくらい。
それは数秒なのだが、長い時間にすら感じる。

その場にいる全員の・・・ちょっと冷たい目。
流石に、

「は、恥ずかしいわっ!
カイト!!早く出てこいや〜!!
ウラッ!」

るるるが切れた。

と、同時に銀色の羽根が舞った。
そんな気がした。

「やっぱ呼んでたんだ?
分かりにくいよ」

そう言いながら、奴は姿を現した。
初めてこの世界に。

音もなく、気配もなく。
どこからともなく。

相変わらずの美しさ。
太陽の光が反射する銀色の長い髪。
彼の周りには不思議な風を感じる。
その銀色がキラキラと揺れた。

「カイト!」

るるるは思わず手を伸ばし、抱き付いていた。
優しく受け入れる白く細い腕。

「るるる・・・すまなかった」

「・・・・うん」

まさかカイトの口から、謝罪を聞くとは思っていなかった。
だからといって、良い言葉だけでなく反論すら思い付かない。
否定も肯定もない。
ただ、頷いたるるる。

ある意味、いい雰囲気作り上げていた二人。
我に返り、ふと周りに目を向ければ、

「こらこらこら・・・戦闘体勢をホドケ!」

ほぼ全員から殺気。
流石、忍者の集団だ。
こんな時でも武器を携帯していた者は、鋭い眼でこちらを、いやカイトを狙っているようだった。

確かに曲者だと思う。
怪しいまでの美貌。
目の当たりにした不思議な登場。

そして、そういったものを全て抜きにしたとしても残るのは、

「お前が神か!
のこのこと良く現れたものだな」

行き場のない怒りだ。

利吉も懐から出した苦無を、目の前に構える。

確かに、元を正せば神の仕業。
ただ、何処まで遡るかは微妙だ。

「いやいやいや、まてまてまて!
別に復讐とか、敵討ちとか目的で呼んだわけじゃないから!」

自分で選んだ道だと思っているのは、るるる本人のみ。
彼女はカイトに対して、マイナスの感情は存在していない。

だから、この利吉をはじめとする敵意むき出しの忍たちの間に割って入る。
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