望んだ事はB

□オラ、悟空!
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『着いた・・・』

久々と言うほどの日数は経っていない。
しかし、随分と見ていなかった気がする、見慣れたはずの学園の正門が見えた。
今日は小さい門だけでなく、全開だ。

「疲れた〜!!」

ヘナヘナとその場に牧之介が座り込もうとした瞬間、

「突破せよ!」

鬼軍曹るるるが脇腹を蹴った。

「痛っ!何すんだよ!」

可哀想な牧之介。
それに彼には言い分があった。

「小松田君がいるから、突破は無理だって!」

その通り、中へ入ると最強の門番。
しかし、今日は少しだけ違う。
彼は弔問客の受付係を担っていた。

「いいの!行けっ!」

更に強く頭を叩く。

「痛いって言ってるだろ!
もうどうなっても知らないからな!」

覚悟を決めた牧之介が、四つん這いの手足に力を入れた。
そして、一気に小松田さんの前を、

「しっつれ〜しま〜すっ!」

駆け抜けた。

「あ!待って!ここに名前を!」

いつもより張りも元気もない声が、それでも自分の役割を果たそうとした。

「小松田さんも来て!」

「え?・・・るるるちゃん?」

どうやら気付いていなかったようだ。
るるるの呼び掛けで、猪の上の彼女の存在を知る。

ただ、そのスピードは凄まじく、もう遥か先を砂煙を挙げて進んでいた。

「追わないとな」

「え?」

今度は背中に声。
振り返ると、

「利吉さん・・・」
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