望んだ事はB

□野生の・・・?
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あれから数時間が経った。
結局のところ、布団に入っても全く眠れず今に至る。

ずっと見つめていた襖が、黒からグレーへと色を変えた。
朝日が昇る。

「とうとう今日が来ちゃった」

るるるが呟いた。

来なきゃいいと思う時こそ、しっかり来る気がしてしまう。
時間と言うものは、差別なく訪れる唯一の物なのに。

遠くで気配がした。
自分は忍でもなければ、そんな力もない。
ただ存在することを、気配と言ってしまうのは、

「職業病?」

久々の一人ツッコミだった。

早めに出ると言っていた和尚さんが、夜明けと共に発つらしい。
そのバタバタが遠くのこの部屋まで良く聞こえる。

何となくつられて、着替えをしてしまった。
いくら早くても、るるるの出発はもう少し後だろう。

「なんか喉かわいた」

ツッコミ動揺、久々に感じる欲求。
不思議な気分だった。

水を飲むために、廊下に静かに踏み出る。
少し肌寒い。

全然部屋の配置など知るよしもなかったが、朝早くから他人の手を借りるのもと自力で探しだした。

台所だ。

「しつれいしま〜す、と」

誰もいないはずのそこに、何故か挨拶して入ってしまったのたが、

「ちゅー?」

先客がいたようだった。

「まあ、でっかいネズミ」

淡々とボケて見せるるるるに、

「違〜う!私はネズミではな〜い!」

さっきちゅーって言ったやろ!とは言わない。
その着ぐるみに失礼だから。

「野生の・・・牧之介か」

イノシンの格好をして、お釜から米を盗んで食べている彼。
今ここで会う必要があるべきなのか分からないキャラ。

初顔合わせの忍たま登場人物で、初めて嬉しいと思わなかった瞬間でもあった。
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