望んだ事はB

□お笑いこそ
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気付けば、東の空が明るくなってきていた。
所々に細く上がる煙。
静かというべきなのか、無言というべきなのか、辺りはしんとしている。

「終わったぞ。もう大丈夫だ」

きり丸とるるるの前に、大木雅之助が降り立った。
傷もなければ、衣服の汚れもないに等しい。
ただ、目の奥に鋭く光っている何かを残している。

『闘いの余韻・・・』

るるるは少しだけ恐怖を感じたが、きり丸の手を取り、学園の塀に沿って歩き出した。
そして、正門の近くに来ると、それはギッと大きく開く。

出てきたのは、

「小松田さん!」

「おかえり、二人とも!」

るるるの声に反応をした。
いつもと変わらない、いやいつも以上の柔らかな笑顔だ。

「ただい・・・ま」

そう応えれば、もう終わりの筈だった。
しかし、るるるが見たのは、

「・・・・」

言葉にならないほどの、無惨な忍術学園の姿。

焼け焦げた樹木。
爆破の威力を物語る、地面に出来た穴。
そして、目を引いたのは屋根が崩れ堕ちていた学舎。

「大丈夫だよ」

小松田さんがるるるの肩に手を置いた。
そっと顔を見ると、

「いくらでも、立ち上がればいい」

そう言った顔は一瞬大人だった。
やはり彼は底知れない。

「きり丸!!るるるさん!!」

二人に気付いたのは、乱太郎としんべえだ。
その声に次々と姿を現した一年生達。
まるで、狼から身を隠していた子やぎのようだ。

二年生や三年生も戦闘体勢をほどき、安堵の息を吐いて集まりだす。
彼らも参戦したのだろう、汚れていたり傷を負ってたりする。

「タッキー、ミッキー・・・アヤヤ」

るるるが口にしたのは四年生の名前だ。
仲良く背中を合わせて、地面に座り込んでいる。
珍しく無口。

六年生不在の中、五年生を支え後輩を守ったのは彼らだ。
ボロボロのアイドル達。
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