望んだ事はB
□学園からの報せ
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「八方斎様、つれて参りました」
襖がすっと開くと、ドクタケ忍者が畳の上にそっと置いた。
「るるる・・・」
八方斎より先に反応したのは、傍にいた市原周平だった。
目を閉じている彼女は、どうやら気絶しているらしい。
「市原先生、こいつと何を話していたのかな?」
八方斎はドクタケ忍術教室を手伝うようになってから、彼をこう呼ぶ。
正直、余り好きではない。
「別に。
それより連れてきて、どうすんの?」
自分の質問には答えず、逆に返してきた周平。
八方斎の大きくて広い額にピキッと浮き出た血管。
「ま、まあいい」
折れたのは、八方斎だった。
案外、大人だ。
「何かの時に役に立つだろうと思ってな。
奴等が侵入した時なんかにな!」
ガハハと笑おうと、頭を後ろに倒し、準備が整った瞬間、
「もう来てるけど?
気づいてなかったの、忍者のくせに」
そのまま、畳に倒れこむ。
「ん・・・」
騒がしさでなのかは分からないが、るるるが目を覚ました。
「?・・・あれ、ここは?」
目の前には、足と頭の位置を逆転させ、ジタバタもがきながら、
「曲者が侵入した!
捉えろ〜!!!」
いまいち決まらない指揮をする八方斎の姿があった。