望んだ事はB

□潜入
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ドクタケ城に潜入した。
六年生と一年は組担任と七瀬。
そして、今回もう一人。

「よし、ど根性で行くぞ!」

大木雅之助だ。
正直、どんな助っ人よりも頼りになるだろう。
因みにいつものように、利吉は先にドクタケ城に潜入済みだ。

相手に目的がバレている場合の潜入ほど、やりにくいものはない。
例え、勝手知ってるドクタケ城であっても油断は禁物。
ひとまず二人一組になり、出来るだけ敵を拡散させることにした。

七瀬は半助と組んでいる。
すんなりと城壁を越え、いまだ敵と遭遇することはない。
七瀬に合わせつつも、無駄な動きがないのは、流石教師と言える。

城内の建物の影に隠れ、辺りの気配に集中する。
既に暗い。
星も月もない夜空。
ある意味、潜入日和。

「土井先生、あっちから気配」

小声で告げると、分かっているように頷いた。

「利吉くんだよ」

姿を現したのはドクタケ忍者に扮したその人だった。

「久しぶりだね、七瀬」

「ええ・・・」

何だか気まずいのだが、今はそんな事を言っている場合ではない。
利吉は話を続けた。

「二人が捉えられているのは、地下牢です。
入り口は一つしかありません」

「そうか、なら沢山で行っても意味はないか。
で、市原君はどこに?」

敵とはいえ元同僚。
君呼びしてしまう半助は人がいい。

「八方斎と一緒に城にいます」

彼の力が一番驚異だ。
いや、それさえなければドクタケなど恐るるに足らず。
きり丸だけと言わず、生徒を何度となく助け出している。
あまり自慢できた事ではないか。

「では、救出班はい組とは組ですね」

七瀬が言うと、半助は浮かない顔と共に小さく返事をした。
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