望んだ事はB

□心配
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るるるときり丸の救出は、今夜実行に移される。
メンバーは、六年生と五年生。
教師は山田先生と土井先生。
そして、七瀬。

今日の授業は一日休みになった。
各自準備をし、仮眠も夜までにしておくことを命ぜられている。

が、昼間から、しかもこんな状況で寝られるはずもなく、

『みんなは寝てるのかな?』

どうでもいいことが気になった。
ふと、体を起こし部屋を後にした七瀬。

まだ、午前中。
太陽が眩しい。

「あ・・・そっか」

やはり寝ている者などいなかった。
目にしたのは、留三郎。
用具委員会のメンバーと何かを運んでいる。
作兵衛と並んで話しているのは、恐らく不在時の対応だろう。

『きっと他の委員会も』

委員長となっている上級生は全て出払う。
みんな心配で仕方ないに違いない。

「・・・」

学園内で一番高い木の下に来た。
見上げる。
るるると共に登ったのは、数日前の事だった。

太い幹。
人間の胸板のように、そこへ顔を近付ける。
太陽に照らされていた木の肌は、ほんのり温かい。

「行ってくる。
るるるもきり丸も、すぐに連れ戻す。
それまでは、学園を見守っててね」

目を閉じて、小さく口にする。

それに応えてくれるように、そよ風に葉が揺れた。
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