望んだ事はB

□前向きな捕虜
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その頃のドクタケ城。
暗い牢獄にるるるときり丸。

コツコツと歩く音がする。
監視の交代かなんか知らないが、その足音は忍者としてどうかと思う。

「あ!」

きり丸が入ってきた人物を見て、声を上げた。

「山ぶ鬼!出た〜!ドクたま!!」

るるるがガッツポーズ。
この人にマイナス思考は存在しない。
きり丸は確信した。

「何で私の名前を?」

キョトンとした顔がるるるの萌え度をアップさせるとは知らない。
その手にはおにぎりとお茶が載ったお盆。

「俺たちに?」

きり丸が涙を流す。
ただ飯だからだろう。
今度は山ぶ鬼の顔が明るくなった。

「市原先生の指示なの」

「ええっ?」

「どっち?」

きり丸が聞いたのは、るるるが驚いた内容について。
市原周平が持ってこさせたという事。
それとも、市原周平を先生と呼んだ事に。

「両方!」

軽く答えたのは、今から聞くつもりだからだ。

「ドクたまって、魔界之小路先生じゃないの?
まさか、通販で失敗し過ぎて、クビになったとか?」

「よく知ってるな〜!」

感心するきり丸。

「いや、違うし」

山ぶ鬼の冷静なツッコミ。

「市原先生が忍術学園で忍たまに教えたってことを八方斎校長先生が聞いてて、それならドクたまに教えろってなったの」

「へ〜」

納得するきり丸。
そして、山ぶ鬼をじっと見ていたるるるが言った。

「山ぶ鬼は市原先生が好きなんだね」

「うん!お兄さんみたいで、私達と一杯遊んでくれるからね!」

偽りのない笑顔。

私達はそいつに拉致されたんだけど。
なんだかな。
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