望んだ事はB

□大波
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学園に戻ってこれた。
連絡を受けた山田先生と土井先生が迎えにきてくれたのだが、あまり覚えてはいない。

学園の庵。
学園長、山田先生、土井先生。
七瀬、乱太郎、しんべえ。
後の二人はいない。

そう、ドクタケに拉致された。

正確には、

「突如、大波が第三協栄丸の船を襲ったというのじゃな?」

学園長が唸った。
話さない三人の代わりに、話を聞いてきた先生方が報告をする。

市原周平とにらみ合いをする乱太郎。
七瀬も苦無を構えて、乱太郎の後ろに立った。

「俺とやるのか、七瀬」

「乱太郎を傷つけたら、承知しない」

そう言うと、風向き変わった。
明らかに三人の周りだけ、強い風が吹いている。
水面も不自然に揺れる。

「前と違うね。手強そうだ」

一歩退く周平。
彼は感じた。
七瀬の中の神の力を。

『乱太郎を守る』

そう念じた瞬間から、体が熱くなったのを七瀬も分かっていた。
七瀬の神の力は、他人の為に使いたいと思った時に発動する。
それが今なら出来そうだ。

「すごい・・・気。
今日はまずいかな」

周平が両手をあげた。
すんなり負けのポーズ。
早すぎる降参。

「すぐに会えると思うけど」

挙げていた両手をバイバイと振る。
拍子抜けというか、やる気をそがれた気分だ。

しかし、その一瞬の隙がこちらの敗因となった。
見逃さなかった周平。

「!!!・・・乱太郎!」

「ワアーーーー!!!七瀬」

七瀬が叫ぶ乱太郎を抱き抱える。

学園長に報告した、その大波が出現したからだ。
最初に避けたものとは比べ物にならない。

海に飲み込まれる二人。
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