望んだ事はB

□三禁
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教室のドアに立っていた。

「るるる〜!」

そう呼ばれて、ニカッと笑った。
その容姿で、その笑い方は似合わないんだけど。

「ちょっと、うちの子勝手にそそのかさんといて〜」

近付き、よいしょとしゃがむ。

「・・・」

思わぬ人物の登場に、周平も口が開きっぱなしだ。
だから、七瀬も簡単にひっぺ剥がされた。

「はい。七瀬回収しま〜す」

「るるる」

七瀬は、るるるの首に手を伸ばし、抱き付いた。

「よしよし、世話のかかる子じゃよ。
って、私はじーさんかっ!」

こんな時にも一人ボケつっこみ。
いや、こんな時こそが彼女らしさなのだ。

「あんたの狙いはこれ?」

七瀬を抱き締めながら、周平を見るるるる。
この眼が一番最強だ。

呑まれた周平は、

「敵わないな。
まさか、弱いあんたが一番強かったとはね」

ついに、ボロを出した。
懐から苦無を取り出す。

「腕っぷしの強さだけが、人間の強さじゃないって知らなかった?」

ペンは剣より強し。
そう言って、日頃から締め切りの修羅場をこなしてきたのよ!

口に出して言ったけど、スルーされた。
「」も付けて貰えなかったし。

「バカね。
七瀬は逃げるのが一番嫌いで苦手なのよ」

それが不器用すぎて、困りもんなんだけどねと、頭を撫でる。

「七瀬を渡せ」

「却下したら?」

構える苦無。
また、不敵に笑った。

そして、もっと不敵に笑ったのはるるる。

大きく振りかぶって・・・じゃなくて、息を吸い込んで、

「キャーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーッ!」

本当に放課後の静かな教室は、よく声が通る。
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