望んだ事はB
□悪いのは誰だ
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「やっぱり七瀬の仕業か」
朝方、目の下に隈を作ってきたるるるが、部屋に戻ってきた。
七瀬にも隈。
もちろん眠れる筈がない。
「何か音がしたから、文次が見に行ったんだけど、何もなかったって言ってたんだよ」
天井に明いた穴を見上げる。
朝日に染まった空が、綺麗に見えた。
「利吉さん、100%勇気出しちゃったわけね」
「・・・はあ」
ため息で答える。
「で、どこまでやりきっちゃったの?」
「やりきるって・・・やってないし」
「じゃあ、未遂で飛ばされたの?
そんなの気の毒過ぎない?」
「未遂・・・でもない・・・けど」
「お姐さんに、しっかり話してごらん」
ある意味、お膳立てしたのは自分。
まさか、利吉が本気で手を出すとは。
気持ち半々ではあるが、やはり信じられない気もする。
「やるな、リッキー!」
ちょっと甘く見てたよ。
君も男だったんだね、きっとお母様も喜んでいるに違いない。
なんて、口にはしない。
「ところで、七瀬は利吉さんが嫌いなの?」
「は?何で今そんな事聞くかな?」
「今だから、聞くんだよ!」
この鈍感娘!
叫びたいが、あおってしまって壊れたら申し訳ない。
「好きだけど、そういう関係を望んでるわけじゃない」
「あんな格好いいのに?
何がダメなの?」
言われなくても、分かっている。
流石の七瀬も、利吉の非の打ち所の無さは百も承知だ。
「ダメなのは私の方だよ」
「バツイチだから?」
直球で来たのにはビックリしたが、正直その事を言われても段々きつくなくなっているのは確かだ。
るるるは分かって言っている。
「まあそれもあるけど・・・」
「あるけど?」
「私達は嘘をついているから・・・」