望んだ事はB

□市原先生
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学園長の庵にいる七瀬とるるる。
七瀬が目覚めた報告と、

「いつもご心配おかけしてすみません」

お詫びを兼ねて。
毎度の光景。

「それにしても、学園長はどうして彼を学園に留めたのですか?」

説教が長くならないように、話題を振った。
もちろん、七瀬もその事に関しては、興味もある。

学園長も話したいようだ。
目がキラリと光る。

「分からないからじゃ」

「はい?」

その答えが分かりません。
七瀬の顔が訴えていた。

「あやつが嫌いか?」

お主が好きらしいぞと、付け足された。
一々言ってくれなくてもいいのに。

「嫌いも何も・・・全然知りませんし」

「じゃからじゃよ」

その言葉に、隣でるるるが笑った。
彼女に視線を移す。

「学園長らしいですね」

るるるの綺麗な声とその台詞。
とても、温かさを感じた。
そして、納得する。

分からないから、分かってみたい。
それは、かつて自分達にも与えられたチャンス。
その寛容さのお陰で、今がある。

拒絶するのは簡単だ。
だけど、受け入れるのは難しい。
それが学園長には出来る気がする。

「なんか、初めて学園長を尊敬しました」

「失礼なやつじゃ!」

庵が三人と一匹の笑いで包まれた。
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