君と僕。
□ぽっちゃりシリーズ1〜片思い〜
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要が東先生への気持ちに気づいたときからすでに9か月が過ぎていたが、いまだに何の進展もなく、要は焦りはじめていた。
時間がたつにつれて、おさまるどころか益々強くなっていく気持ち。
そんな要の気持ちなど知らずに無情にもすぎさっていく時間。
もう3年になるのだ。
あと一年足らずでほとんど学校にも来なくなるので、必然的に先生にも会えなくなる。
はじめのうちはこの思いをどうこうしようなどおもってもいなかった。ただ毎日眺めているだけで十分だった。
しかし今ではこの思いを押さえることができなくなっていた。
毎日毎日先生をみるたびに抱きつきたい衝動に駆られる。
先生に触れたい。
抱きしめられたい。
キスしたい。
自分だけにその笑顔を向けてもらいたい。
要の欲求はどんどん大きくなっていった。
そんなある日。
春休み中にもかかわらず生徒会の仕事で一人遅くまで残っていた要にチャンスが訪れた。
「あれ?塚原くん、まだのこってたの?」
「っ!!!!」
無音だった生徒会室に東先生の声が響き、驚いた要は勢いよく振り向いた。
開けっ放しだったドアから東先生がこちらをみていた。
びっくりしたのと、いきなり現れた思い人の東先生と2人っきりだという状況に少しパニックになりながらも、ぎこちなく返事を返した。
「あ…の…。はい、えっと、仕事が全然…片づかなくて…」
内心凄くキョドっている要の横まで先生がやってきて隣の椅子に腰掛けた。
『やばいやばいやばいやばいっっ!!!近いし!2人っきり!』
「塚原くんはえらいね」
先生は優しく微笑みながら言った。
「いえ…仕事なんで」
「でも全部塚原くんの仕事じゃないでしょ?他の人の仕事までやってあげてるんだから、ほんとにえらいよ」
先生がこんなにも誉めてくれているのに、ぶっきらぼうに、そんなことないです…としか言えない自分に酷く苛立った。
こんなとき、千鶴みたいな人懐っこい性格が凄く羨ましくなる。