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□君が唱えたその瞬間に
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「さよなら・・・」
俺はそっと呟いた。

夜の公園。星たちが空に舞っている夜に俺の恋は終わった。
つい1時間ほど前、彼女に呼び出され「存在が重い」とはっきり断られた。

振られるのは慣れていた。
ほかの人曰く、「見た目が軽そう」「二股掛けてそう」など変なイメージを持たれていたから・・・。
そんなことを思っていた俺は公園のベンチに座っていた。

ボーっと空を見上げると、一瞬星が流れていったかのように見えた。
「・・・流れ星。」
心の中では自分のことを理解してくれる人とめぐり合いたい、そう願った。

「あの・・・・大丈夫ですか・・・?」
前方から声がしたので焦点を空から声に向けた。
立っていたのは同じ歳くらいの娘だった。

「・・・ん?」
「高校生ですよね・・・?」
「そうだけど。」
「こんな時間にこんなとこにいて大丈夫なんですか?」
「・・・・。」
「何かあったんですか?」
「・・・言いたくない・・・。」
「可愛ぃ・・。」
「は!?」
「あ、いや見た目と違って意外に可愛かったから・・つい。」
「・・・お前も。」
「は?」
「お前も高校生じゃないの?」
「そうだけど・・。何?」
「お前も高校生なんだからこんな時間にこんなことにいておかしくないか。」

すると、一瞬彼女の顔はくしゃっと潰れ、また戻り、
「振られちゃったんだよね。」
と笑いながらいった。
「一緒にいるのが重いって。」
すると、素の自分が自然と口を開いていた。
「俺もそうだったんだ。今さっき振られたとこ。」
「じゃあ、あたしたち一緒なんだ。」
「あぁ。」
「あなた・・・良くここくるの?」
「結構来てる。暇なときは。・・・最近は毎日来てるかな・・・?」
「じゃあ、明日も会えるね。」
「そうか?」
「そうだよ!じゃあ明日ね。・・・・えっとあなた名前は?」
「・・・星織修夜(ほしおり しゅうや)。お前は?」
「あたしは羽鳥流花(はとり るか)。じゃあ、明日7時にここで。」
「あぁ。明日な。」

羽鳥が走っていく後姿を俺はあたたかいものに囲まれているかのように見ていた。
公園の入り口で羽鳥は立ち止まる。
「修夜!明日ね!バイバイ!」
「あぁ!明日な!」

俺は自然に笑っていた。
あいつは今日初めて会った奴なのに。

神様、一目ぼれって本当にあるのでしょうか?
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