陰陽寮日記

□陰陽術大会
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陰陽寮主催の陰陽術大会を開催する。
概要は以下の通りである。

・三人一組の班とする。
・武道、学問、陰陽術の三科目の総合点で優勝を決定する。
・陰陽寮に所属しているものなら役職は問わない



こんな張り紙が陰陽寮の掲示板に張り出されたのはつい数日前だった。

「陰陽術大会だってさもっくん。」

書簡を各部署に運びながら昌浩は隣を歩く物の怪に話しかける。

「お前が出たら優勝は確実だと思うんだがなぁ。」

横目でチラッと張り紙を見て物の怪はしみじみと返す。

「何言ってんのさ。そんなわけないじゃん。」

昌浩はすぐさま反論する。
そんな昌浩を見て物の怪は嘆息する。
本当にこの孫は自分の実力をわかっていない。
今の昌浩の本気にかなう奴なんて晴明くらいだというのに。

「じゃあ、お前は出ないのか?」

「うん。だって俺、武芸と学問できないし。それに三人一組だよ。あと二人を見つけるのも大変そう…」
「おお!いたいた我が弟よ!!」

昌浩の言葉を遮って、廊下の向こう側から手を振りながらあるいて来たのは安倍家の長兄、成親だった。

「兄上…。どうしたんですか?」

妙に笑顔な兄を怪しんで昌浩が聞くと、成親はさらに笑顔になって言い放った。

「俺と、お前と、昌親でこの陰陽術大会に出場することにした!!」

「……えぇ!?」

一瞬遅れて昌浩が我に帰ったとき、既に成親は「じゃあそう言う事だから準備して置くように!」と去っていく所だった。

「ちょっ…ちょっと待ってくださいよ兄上―?!」

去っていく兄の背中に手を伸ばして呆然とする昌浩の肩に乗り、物の怪はぽんぽんと頭を叩いた。

「まぁ諦めて頑張れや、孫。」

「孫言うな―――!!」



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