陰陽寮日記

□陰陽術大会
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まずは武芸部門。

ここは朱雀と勾陣という神将からじきじきに剣を習った成親がでることになった。

「はぁぁぁあ!!」

そう、気合と共に向かってくる相手を軽々と最低限の動きで交わして木刀を弾き飛ばす。

「参りました…」

頭を下げて負けを認めた相手を見て「うむ」とつぶやく。

総当たり戦だった武芸の試合は、成親の圧勝だった。


次は学問部門。

兄弟の中で一番机に向かう事が苦にならない昌親が出る事になった。

出題者が出す問題を次々と詰ることなく答えていく。

話によると、昌親は太裳に弓とともに学問も習っていたらしい。

他の回答者に考える隙もあたえない。

全ての問題が終わったころには、昌親以外の全ての回答者が自信喪失に陥っていた。

余裕で戻ってきた昌親に、成親が「もう少し、手加減というものを…」と言ったところ、

「やるからには全力でと言ったのは兄上ではないですか。」

と、笑顔で返された。
その笑顔をみた成親は、一番怒らせてはいけない相手は昌親だという認識を再確認した。



そして最後は陰陽術部門。


「さぁ行け昌浩!」

「頑張っておいで。」

「やっぱり俺なんですかーー?」

確かに武芸よりも学問よりも陰陽術なら腕に覚えもあるが、暦博士と天文生を差し置いて直丁の自分が出ていい種目なのだろうか…?
と思わず考えてしまう。

ほかの班の人々からも、安倍の班は次は直丁殿だぞ!これなら勝てる!!

などという声が聞こえてくる。

「やっぱり俺…。」

「つべこべ言わずに言ってこい!」

物の怪に蹴り飛ばされて、土俵のなかに入ってしまった。




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