陰陽寮日記
□陰陽術大会
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数日後…
「ホントに参加することになっちゃったよ…」
「何をいまさら。」
まだ困惑気味で出場者の集合場所で兄二人を探している昌浩のもとに一人の影が近づいてきた。
「昌浩殿!」
「うわぁっ!敏次殿…!」
昌浩と同じく、この大会に参加する敏次だった。
「君は成親さまと昌親さまと共に出場するようだな。お二人の足を引っ張らないように勤めたまえよ!では、正々堂々お互い頑張ろうじゃないか!!」
「はい!」
「でやがったな!この能無しへっぽこ似非陰陽師!!」
純粋に応援しにわざわざ来てくれたらしい。
物の怪は相変わらず昌浩の足元で牙をむいているが昌浩にさりげなく尻尾を踏まれてるため動けない。
「では、また後で。」
そう言って敏次は去って行った。
「やっぱりいい人だなぁ〜敏次殿。」
「どこがだ!」
もはや意地で敏次に反抗している物の怪を無視して昌浩は再び兄を探し始める。
今度はすぐに見つかった。
「おぉ、昌浩!」
そう言って手を振っている成親の横に立っている昌親もなんだかはっきりしない表情をしていたので、昌浩はこっそり聞いてみる。
「昌親兄上は、どうしてこの大会に参加することにしたんですか?」
すると昌親は苦笑して言った。
「いつの間にか兄上に出場申し込みをされていたんだよ。」
「昌親兄上もですか…。」
そんな弟二人の肩をがばっと組み、成親は笑顔で言った。
「弟たちよ!やるからには全力でやろうではないか!」
その意見には昌親も昌浩も賛成だったので、とりあえずやれるところまでやる事にした。
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