昌彰小説
□雪遊び
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「彰子っ!!出てきてごらんよ!雪が降ったよ!」
沓の中に入るギリギリほどに雪が積もった庭で昌浩が彰子を手招いた。
「本当?」
その声を聞いて、部屋の中から彰子が出てくる。
「彰子姫、冷えるのでこれをお羽織りください」
そのままの格好で庭に降りようとした彰子に天一がうちぎを羽織らせてくれる。
「ありがとう」
彰子は笑顔で答えると、昌浩のところまで降りていった。
「昌浩、寒くない?」
うちぎを一枚多く羽織っている自分と違い、昌浩の出で立ちは普段通りの狩衣だ。
心配した彰子がそう言うと、昌浩は側にいた物の怪をわしっと掴み、
「なっ…なにすんだよ!!」
抵抗する物の怪を無視して昌浩はそのまま首に巻く。
「これで大丈夫」
「何度も言うが、俺を襟巻きにするなっ!!」
「いいじゃん、もっくん暖かいんだから。有効活用しなきゃ」
「だからってなぁ……」
寒い雪の中もなんのその。
熱い舌戦を繰り広げだした昌浩と物の怪を見ていた彰子は、何かを思いついて足下の雪をいじり始めた。
しばらくして、彰子が一人で何か作っていることに気が付いた昌浩と物の怪はその手元をのぞき込んでみる。
「彰子?」
「何つくってんだ?」
二人が聞くと、彰子は手のひらに何かの形に作られた雪の固まりを乗せて言った。
「ふふ、これ何だと思う?」
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