昌彰小説
□馴れ初め
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「おはよう昌浩」
「あ!彰子おはよう。」
「ごめんなさい、待たせちゃったかしら?」
「大丈夫、俺も今来たとこ。」
何の偶然か、転校して来た彰子の家は昌浩の住む安倍の家の隣だった。
このあたりは住宅街から少しはなれた場所で、普通の家より少し大きい敷地の家が多かった。
家が隣で、行き先も同じ。
別々に行く意味は全くもってないので二人は一緒に登校していた。
もっと言うと、二人は付き合っていた。
だって、約束していたのだから…。
『生まれ変わっても、必ず逢おう。そして、また一緒になろう』と。
「じゃあ、行こうか。」
「そうね。」
普通の会話にも、お互いがどれほど大切かわかるほどの空気がただよっている。
昌浩の肩に乗っていた物の怪はなんだか居心地が悪かった。
「今日も…あついな…。」
そんな物の怪の言葉を聞いた昌浩が、何言ってるんだよとばかりに…
「え〜。でももっくん、もうすぐ冬だよ?」
と言った。
気温じゃないわい、ばかやろーと叫びたかったが、止めておいた。
生まれ変わったって、鈍感なところは変わらないらしい。
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