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□星と君と願い事
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「綱吉、星を見に行こうか…」
そんな一言で始まった、放課後デート。
─…‥星と君と願い事
並中から雲雀のバイクに二人で跨がり、約30分。
道中、他愛もない話をしながら辿り着いた先は並盛海岸。
まだ海水浴のシーズンを迎えていない海岸は、人もなくガランとしている。
道路脇にバイクを止め、砂浜に降りるべく階段を下る。
綱吉は薄暗くなった砂浜に降り立つと、はしゃぎながら波打ち際に向かって走っていく。
「雲雀さん!早く、早く!」
「綱吉、そんなに急がなくても星も僕も逃げないよ」
綱吉は余程嬉しいのか、眩しい程の笑顔で雲雀に向かい、手招きをする。
そういえば、最近二人で出掛けていなかったなと思い、雲雀は満面の笑みを浮かべている愛しい恋人に苦笑した後、微笑み返した。
引いては寄せる波の動きに合わせて遊んでいる姿は、まだまだ子どものあどけなさを残しており、雲雀は近くの岩場に座って、綱吉の行動を頬杖をつきながら楽しそうに観察していた。
少しして遊び疲れたらしい綱吉が、雲雀の居る岩場にパタパタと歩み寄る。
雲雀は近付いてきた綱吉の身体を捕まえ、ひょいと持ち上げると自分の膝の上に乗せた。
「わっ!雲雀さん…重くないですか?」
「重くないよ…それより、凄く楽しそうだったね。海、好きなの?」
雲雀が綱吉の肩に顎を乗せ、クスクスと笑うと綱吉は先程の己の行動を思い出したのか、頬をほんのりと紅潮させた。
「海が好きっていうか…その、雲雀さんとこうして出掛けるのが久しぶりだから、なんか舞い上がっちゃって」
すいませんと照れた様に苦笑する綱吉に愛しさを感じ、スッと目を細めて相手の癖の強い髪をさらさらと撫でながら、雲雀は空を指差した。
「ほら、見て綱吉」
雲雀の言葉に綱吉が視線を上げると、そこには満天の星空。
そう、今日は7月7日…七夕なのだ。