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□遅刻の代償
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現在、8時30分…
後5分で始業のチャイムが鳴るという時間に、綱吉はまだ通学路をひた走っていた。
「うわ〜っ!!もう完璧遅刻だぁっ!」
何故こんな事になってしまったかというと、朝っぱらから始まったイーピンとランボの喧嘩をいつものように宥めていたのだが、なかなか収まらず、ついに痺れを切らしたリボーンが綱吉に向けて死ぬ気弾を撃ったのだ。
綱吉が死ぬ気になって2人の喧嘩を止め、再び制服を着るのにかなりの時間を費やしてしまい、今に至るのである。
綱吉なりの全速力で走り、ようやく並中が見えてきた頃……
キーンコーンカーンコーン…
「あ…後もう少しだったのに…」
無情にも鳴ってしまったチャイムにがっくりと肩を落とし、校門へ近づくと既に遅刻者の屍の山が出来ていた。
「嘘…今日って風紀委員のチェックがある日だったんだ…」
「そうだよ」
「えっ?!」
綱吉がバッと振り返るとそこには、愛用のトンファーを手にしながら不敵に笑う雲雀が立っていた。
「ひっ!!雲雀さん!!」
「やぁ、堂々と遅刻とはいい度胸だね?沢田…」
「や、これには訳が…」
「そんなの関係ないよ。遅刻は遅刻でしょ?」
「うわぁ〜すいません、すいません!!」
チャキリとトンファーを構えた雲雀を見て、カバンを盾にして綱吉が謝り倒していると、予想していた衝撃は来ず、代わりに綱吉の頭にポンと何かを載せられた。
綱吉が、恐る恐る硬く閉じていた目を開けると載せられていたのは雲雀の手でその表情は先程とは違って優しいものだった。
雲雀は綱吉のキャラメル色の髪の感触を確かめるように撫でると、スッと身を翻してスタスタと歩き始めた。