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□溶け合う甘さ
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窓から紅い光が射し込む夕暮れ時…。
グラウンドから微かに聞こえる部活動をする群れの声と、自分のペンを紙面に滑らせる音だけが応接室に響く。
けど、そんな静まりかえった空気も1つの音によって一変した。
──…‥ぐぅー…
予想もしていなかった音に、ふと顔を上げると顔を真っ赤にしてソファーに座っている少年と目があった。
沢田綱吉、いつも僕の仕事が終わる迄健気に待っていてくれる僕の愛しい恋人だ。
相当恥ずかしかったらしく、耳まで赤く染めている姿を見て僕がクスリと笑うと、居たたまれなくなったのか俯いてしまった。
「っ…すいません」
「別に、気にしてないよ」
丁度仕事も終わった僕は綱吉の座るソファーの方へ移動し、未だに俯いたままの綱吉の身体を持ち上げて、向かい合わせになるように自分の膝の上に乗せた。
「待ちくたびれて、お腹空いちゃった?」
癖の強いキャラメル色の髪を撫でながら問いかけると、コクリと頷いた。
その時、見回りの時に没収したキャンディーがまだポケットに入っていることを思い出し、学ランの内ポケットを探った。
「待っていてくれたから、綱吉にご褒美あげなきゃね…」
そう言ってポケットから出したキャンディーを綱吉の掌にのせてやると、恥じらっていた顔が忽ち笑顔へと変わった。
「いいんですか?」
「うん、どうぞ…」
いただきます!と包みを開けて幸せそうに飴玉を頬張る綱吉を見て、可愛いと思うのと同時にちょっと悪戯してやりたいとも思った。