白×黒

□出会い
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今の男は強化系だったのだろう。

その男が私のような女に蹴られたくらいで死んだのだ。


そりゃ驚くだろう。


さすがにこの人数の実力者を相手に殺り合うのは賢くない。


出来れば、手を退いていただきたいところだ。


「……………」


『……………』


そう思ってみたが、お互い譲る気は無い。


仕方なく交渉してみる。


『…………わかったわ

こうしましょう?

私が持っているこの二つの宝石を含め、この部屋にある宝を半分づつするっていうのはどうかしら?』


「……………」


「団長!!
こんな交渉することはねえよ!

殺っちまえばいいだけのことだろ!?


許可くれよ!!」



フィンクスは我慢の限界らしい。




「………………いいだろう」



クロロがそういった瞬間にフィンクスが動こうとする。


だが、次の言葉でフィンクスは止まった。



「その交渉呑もう」


団員達は納得していないようだった。


『よかったわ
そう言ってもらえて


で、ルビーとサファイアどっちがいいの?』



私の挑発的な笑みにクロロも微笑むと、サファイア。っと答えた。


私は迷わず、ルビーを投げる。


クロロは驚いたように受けとると、軽く私を睨んだ。



『交渉相手に殺気を向ける人の望みを聞くとでも?

いいのよ?私はここで何人殺そうと』



その言葉に団員達の殺気が強まる中、クロロはクックックッと喉の奥で笑う。


「参ったよ
お手上げだ

この部屋の宝は半分もらうよ」


シャル。っと声をかけると、団員達が宝を運んでいく。



『……………』


その作業を私の隣で私と同じようにクロロが見守る。



「名はなんと言う?」


『教える義理がないわ』


「……俺はクロロ=ルシルフルだ」


『変わった名ね
よろしくするつもりはないわよ』


「クックッ

お前は面白い
クモに入らないか?」


その言葉に、チラリと横を見上げれば、楽しそうに顔を緩ませ、こちらを見るクロロの姿があった。


こんな風に笑うのかと思っていたら、無意識に言葉が出ていたらしく、考えておく。なんて曖昧な返事をしていた。


宝を運び終わったらしく、団員達が部屋をあとにする。


去り際、クロロが小さい紙を渡した。

そこには、メールアドレスと電話番号。


それを見て思わず笑みが漏れる。


『ねぇ』


そう言うと、そっと振り替えったクロロの顔は優しかった。


『クローディアよ

クローディア=アムステル

調べたって無駄よ

なにも出てきやしないわ』



その言葉を聞いたクロロは、フッと笑うと、部屋を出て行った。



私も、小物類をポケットに詰め、屋敷をあとにした。
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