霊狩

□二章
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東京 渋谷



「はー
さすがにもう風が冷たいなぁ」


麻衣は、オフィスの窓を拭きながら呟いた


『クスッ

そうだね〜

掃除はそのくらいにして、お茶でもどう?』



読んでいた本を置き、ソファーから立ち上がる。


「あ〜ほしい!!」


麻衣は笑顔で言うと、雑巾を洗いに行った。


その間にキッチンで紅茶を淹れる。


「麻衣 お茶」


ナルが所長室から顔を出す。


『麻衣は掃除の片付けをしてるから、今日は僕が淹れるよ』


そう言うと、ナルは戻っていった


『麻衣ー
入ったよ〜』


麻衣は嬉しそうな顔で、ソファーに座りティーカップを持ち上げる。


「なんだか人に淹れてもらうって幸せ〜

ありがとう」


『どういたしまして』



笑顔で言ってから、所長室のドアをノックする


『ナル 入るよ』


返事を聞かず中に入り、デスクの上に紅茶を置く。


『どうぞ』


「……………」


無言で手を伸ばす


だが、カップを私が持ち上げた。


「…………」


ナルが軽く睨む


『お茶、淹れてあげたんだけど?』


気にせず笑顔で言ってやる


「……………すまない…」


ため息の後ボソリと言うが、まぁいいだろう。


『いいえ〜

…………次はどこに行くの?』



ナルの横に立ち、持っていた地図を見る。


「考え中…」


『…………ジーンは……いったいどこに行ったんだろ…』


ボソッと呟くと、ナルがチラリと私を見た。


「………すぐに見つけてやるさ…」


そう言い、ナルは私の頭を撫でた


『うん

じゃ、次からの旅行は私も連れて行って

私もナルと一緒にジーンを見つけたい』



「クスッ」


真面目に言ったが、ナルは笑った



『なんで笑うの〜?
真面目に言ってるんだけど…』



「すまない

あまりにヴェーラらしい意見だったから」


『!』


綺麗に笑いながら言うナルに見とれてしまう


『……じゃ、連れて行ってくれるの?』


「あぁ、約束する」


『ありがとう!

ナル大好き!!』


言いながら、イスに座ったナルに抱きつく。


パッと離れると、ティーカップをお盆に乗せる。


『紅茶冷たくなったね
入れなおすよ』






ヴェーラが部屋を出た後、ナルが赤い顔で頭を抱えたのは誰も知らない。
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