□紅犬の独占欲
3ページ/7ページ





「お前が行かなくても良いのではないか」

「はあ?」

「それとも、檜佐木に乗り換えるつもりか」

「っ、」

なんすか、それ。
結局俺が悪者になんのかよ

「そうかも、しれないっすね」

本音を隠し、無理やり笑顔を浮かべた。
こんなこと言われるとは思っていなかったんだろう。
隊長の目が見開いている。

「恋次!」

隊長が珍しく焦ったように叫ぶのを無視して俺は走り出した。




ーーーーーーーーーーーーーーーーー





「檜佐木さーん!今晩も付き合ってくださーい!」

「うぉ!恋次、お前っ」

意地でも泣かないように顔を歪めて、檜佐木さんに飛びついた。

そんな俺に何か察した檜佐木さんは、ポンポンと頭を撫でてくれる。

檜佐木さんの手は隊長と違って温ったけえな。

…あ?なんで俺、隊長と檜佐木さんを比べてんだ?

「阿散井?どうした?」

「いや、なんでもないっす!」

ハッと我に返った俺はにこりと笑って首を振った。

「じゃあまた夜に」

「おぅ」


―――しかし、俺の失態のせいで夜の呑みは中止せざるを得なくなった。



.
次へ
前へ

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ