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□紅犬の独占欲
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「お前が行かなくても良いのではないか」
「はあ?」
「それとも、檜佐木に乗り換えるつもりか」
「っ、」
なんすか、それ。
結局俺が悪者になんのかよ
「そうかも、しれないっすね」
本音を隠し、無理やり笑顔を浮かべた。
こんなこと言われるとは思っていなかったんだろう。
隊長の目が見開いている。
「恋次!」
隊長が珍しく焦ったように叫ぶのを無視して俺は走り出した。
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「檜佐木さーん!今晩も付き合ってくださーい!」
「うぉ!恋次、お前っ」
意地でも泣かないように顔を歪めて、檜佐木さんに飛びついた。
そんな俺に何か察した檜佐木さんは、ポンポンと頭を撫でてくれる。
檜佐木さんの手は隊長と違って温ったけえな。
…あ?なんで俺、隊長と檜佐木さんを比べてんだ?
「阿散井?どうした?」
「いや、なんでもないっす!」
ハッと我に返った俺はにこりと笑って首を振った。
「じゃあまた夜に」
「おぅ」
―――しかし、俺の失態のせいで夜の呑みは中止せざるを得なくなった。
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