2つの世界の御伽噺

□3ページ 旅の根本的な内容
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あてもなく旅をする。何処に向かっているか、なんてわからない。

…いや、実際の所、

”私は”

わかっていない。

イーズは目指している場所があるんじゃないかと時々思う。だって、道を決めているのはいつもイーズだし。


『さて、右か左か。どっちにするの?』
『左には俺が求める楽園がある気がする!という事で左だ!!』
『…あれは楽園じゃなくてキャバクラじゃん!』
『フッ。男にとっては楽園だよ』
『ドヤ顔ウザッ』


…うん。

きっと目指す場所が…あるんだと…思うよ。

決して、浮(ウワ)ついた事だけじゃないよ。…きっと。


私が思うには、イーズの弟を捜してるんだと思う。確かイーズと5・6才の差だったような…。生き別れた、ってか、失踪したとか言ってたな。

イーズは他国からやって来た、所謂(イワユル)異人(イジン)さんだ。家族と共に故郷を離れたと言っていた。

アイツがまだ12の時らしい。

この国に来ても、イーズの父親が結構な武力派だったので、生活に困る事はなかったと聞いた。大抵、武力派は良い職業に就けるからね。それに、家族全員が能力者に生まれていた為、将来を期待されていたという。

しかし、そんな時にある事件が起こる。

その事件については、国内を騒がせる程の大事件になった。当然、私も当時のニュースで知っていた。

詳細は聞いた事ないが、なんでも……。

イーズの弟が、弟自身の誕生日の日に両親を殺したらしい。

あの武力派と言われていた父親を。

自分を産んだ母親を。

…一晩のうちに、虐殺したらしい。

その時のイーズは16才。出稼ぎに出ていた最中の事だったという。

その後イーズが弟を捜すも、国内何処へ行っても目撃情報は無く、消息不明となった。

この事件のせいかはわからないが…いや、多分。絶対、この事件のせいだ。

イーズが、血を見ると怯え出したのは。

そして、イーズが18才、私が15才の時に私達は出会った。

…それはまた、今度教えてあげるよ。




...end
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