2つの世界の御伽噺

□3ページ 旅の根本的な内容
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はじめして。私はフィリアっていうんだ。私の隣で歩いているのは、旅仲間のイーズっていう、ツッコミが得意な野郎。

私達は逃げるように旅をしていた。早くこんな世の中から解放されたかった。

力だけが全てじゃない、他にも色んなモノが大切なんだ。

そう解ってくれる世界を求めた。


私達は能力者だった。能力者に生まれた以上、どんなに足掻いたってこの武力国家という名の牢から脱出する事は不可能だったんだ。

だから…、私とイーズは国から逃げ出した。

別に、最初から計画的に。なんて訳じゃない。なんとなく…、なんとなくでやってみた。


『あ…じゃあ旅する?』
『いきなり過ぎるって。馬鹿イーズが』
『っ!?…馬鹿じゃない!天才イーズ様だ!』
『煩い』


国から逃げたって、何かが変わりはしない。他の国でも能力者中心の国家だ。

意味の無い、脱走。

それは私達にも十分わかっていた。

けれど、力に縛られた一生を送るよりも、自由奔放な人生を少しでも味わいたかった。
その結果が旅だ。


…縛られたくないとはいえ、霊魂(レイコン)を使っている私は…。

所詮、この国生まれの能力者だという事だ。

嗚呼、何て滑稽だろうか。

結局は能力に頼ってるんだからさ。



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