2つの世界の御伽噺

□4ページ 過去の烙印(ラクイン)
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おはよう、もしくはこんにちは、こんばんは。俺はイーズ。隣で歩いてるのは、背は低いが能力は高いフィリア。


「誰が背ェ低いって?」
「ちょ、怖いなあフィリアちゃん。ってあだだだだだ!ゴメン!ごめんなさい!!だから腕!!腕がぁあ!痛ぇええ!ストップ!ストーップ!」
「余計な事言ってるからだよ」
「だからって腕を鈍器で殴るのはどうかと思うけど!?」
「鈍器じゃないよ。兵器だって」
「余計悪いわっ!!ってかソレ何処から出した!?」
「霊魂だよ。この兵器も」
「無駄な能力の無駄遣いをすんなよ!」
「何回無駄言ってんの。馬鹿イーズ。あ、間違えた。アホイーズ」
「何故言い換えた!?」


…はい。霊魂(レイコン)能力者は人の心も詠(ヨ)む事が出来る…みたいだ。何とも…いや、とてつもなく厄介な能力だ。

いっつも俺の心の中を覗かれるからなあ。

はあ。フィリアは何時から変態になってしまったのか…。


「ちなみに。私は心なんて詠めないからね。変態でもない。ってかイーズを詠む程腐ってもいない」
「…今詠みましたよね!?それと俺絶対侮辱されたよね!?」
「イーズがわかりやす過ぎるんだよ」
「侮辱については!?」
「ノーコメント」
「ちくしょおおおおおおお!」


心詠まなくてもわかりやすい俺って……。

まあ、俺達はこうして3年ぐらい旅をしている訳なんだが。

あ、ちなみに。俺は22才、フィリアは19才な。

一年365日中一緒に居るわけだからさ、相手の事もよくわかってくるってもんだ。

…ちょ、誰だ!

今俺の事を「へんたーい」とか言った奴は!

しょうがないだろ!俺がその気じゃなくてもずっと一緒にいるようになるんだから!

俺は変態じゃない!

……多分。

ごほん、話が逸れたな。んで、本人から聞く事は多くはないが…。行動や性格を見ていれば段々と感づいて来るモノもある。

こいつの、家庭状況とかさ。

結構複雑みたいなんだよな。…俺みたいに。

だから、俺達は気が合ったのかもしれない。じゃないとこんなくだらない旅に付き合ってくれる訳が無い。

…何か話が暗くなってきたな。


「フィリアー。この先の小さな町で一旦休もうぜ」
「そうだね。イーズのせいで疲れたし」
「オイ。俺が何をしたって言うんだ」
「…存在?」
「存在まで否定しちゃったよこの子!?」
「冗談だって…。三分の一は」
「ちょっ、それって半分以上は本気なんだよな!?」
「……(スルー)」


うん、根は良い奴なんだよ。これも言葉のアヤなんだよ。

…決して俺の事が嫌いな訳じゃないよね!?



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