深い夢の中

□出会い…夜
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――池袋の夜…。それは全くと言っていいほど夜を感じさせず、大通りでは華やかな外套が輝いている。


しかし、路地に入りこめば大通りの明るさとは裏腹に、暗く、不気味な雰囲気を醸し出している。


昼と夜が変わる様に、池袋の‘表,と‘裏,も変わっていた…――。













大通りから少し離れたコンビニに、‘いかにも,っといった感じの恰好をした不良少年たちが溜まっていた。


その中には長袖のパーカーを着ている者や、春の暖かさがあるからか、半袖のTシャツを着た者など、様々だった。


その中の一人が何かに目を付けたようで、「おい、あれ…。」と口元に笑顔を浮かべながら、一人の少女を指差した。


その少女は背中まである髪を明るいキャラメル色に染め上げており、毛先にゆるいウェーブがかかっている。


服装は背中に大きなドクロの刺繍がはいっているオレンジピンクのパーカーと黒のスキニ―パンツ、カラフルなスポーツシューズと言ったカジュアルな格好をしていた。


その少女は周りを確認し、薄暗い路地裏に入って行った。


それを見ていた少年達は顔を見合わせ、少女の後を追った。


少女を…――池袋の‘裏,に連れ込むために…




















「ねぇねぇ、君…俺たちと遊んでよ。」


「……………。」


声のする方を向いた少女は顔に白いマスクをしていた。


目だけしかあらわになっていないが、整った顔立ちをしているのが分かる。


なぜ、マスクをしているのだろうか。という疑問を少年達は抱いたが、もはや、どうでもよかった。


「黙ってるってことは…OKかな?」


少女が後ろを振り向けば少年達が回り込んでおり、完全に挟み撃ちとなった。


――…前に3人、後ろに4人…か。


じりじりと前後から近寄ってくる少年達。―――少女は逃げようとしなかった。むしろ、逃げることが‘もったいない,と感じていた。


少年達は気付かなかった…。少女の…今の表情がどんなものか。


‘怯える,とは全く別の表情…


それは…―――笑顔。


少女は笑っていた。マスク越しで、嬉しそうなな笑みを浮かべていた。


欲しいおもちゃが手に入った子供の様に…
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