桜ヶ丘生徒会長日誌
□生徒会長と腐男子
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桜ヶ丘高校と聞いた人は有名な進学校だと誰もが口を揃えて答えるだろう。
中高エスカレーター式が一般的に認知されていて、実は幼稚園からだというのはほとんどの者が知らない。それは、幼稚園から高校まで残り続けいるのは片手未満の人間くらいだから。
大抵の生徒は、外部へと出ていく。レベルの高い授業について行けない、又は、女子を求めて。
桜ヶ丘高校は全寮制の男子校だ。
性に多感な時期に全寮制の男子校にいる為か、桜ヶ丘の生徒は八割以上が男性にも性欲を求める。それは特異でも何でもなく、当たり前の事。
ただ、男しかいない学校で過ごす為に適応した結果そうなっただけ。
生徒会長、嵐奏(カナデ)も、その中の一人だった。
俺様で暴君、仕事をしない。そんな評判の良くない三拍子が揃っていて、幼稚園から残っている古株と呼ばれる存在。
容姿はこの学校で言うなら抱く側しか有り得ないという表現が似合うくらいに男臭い。暑苦しいという物ではないが、どこか雄を漂わせる雰囲気。
そんな攻め要素満載の嵐だが、本人は何か思うところがあるらしい。
「嵐様ー!」
「抱いてください!」
「カッコイイー!」
飛び交う男子の黄色い声援は聞き慣れた物で、嵐は廊下を歩く足を止めて言う。
「この俺が気が向いたら相手してやるよ。まとめてな」
そう言って歩き出すと背後からは悲鳴が響き渡る。
嵐が求めれば誰もが喜びついてくる。性欲の発散相手に困ったことは過去にない。いつだって好きな奴を好きなだけ適当に抱いてきた。
「んー、暇」
充実しているはずなのに、どこか充たされていない自分。そんな事を思い始めたのはいつからか。
嵐は無意識に腐れ縁の友人を探して歩いた。
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