LOVE STORY
□線香花火
1ページ/2ページ
おぼえてますか?
あの夏の日の夜。
キミと一緒に行った村の夏祭り。
小さな祭りだったけど楽しかったね…
「遼希〜!うち、あれやりたぁい♪」
「いいよ!僕もやりたいと思ってたし♪」
キミとやった金魚すくい…
キミと引いたクジ引き…
キミと食べた一つの林檎飴…
「これめっちゃおいしぃな!」
「だね!」
「なぁ遼希〜、この後やねんけど…」
「ん〜?」
「うちの近所で花火やらん!?」
「う〜ん…もう遅いけど…いいよ!!」
祭りが終って二人だけでやった線香花火…
火花がパチパチと二人の顔だけを明るく照らす。
「キレイやな〜…」
「うん…」
花火をしてる時間はとても、とても短く感じたけれどボクはとても幸せでした。
「あんな…うち、遼希に言いたいことあんねん…」
「…何?」
「うちな…遼希が好きやねん!!」
「え?」
「めっちゃ好きやねん!もぅ遼希しか見えんねん!」
嬉しかった…
本当に、嬉しかった。
二人で祭りに行ったのや花火をやったのもだけど、キミと同じ気持ちだったことが一番嬉しかった…
「僕も…七海が好きだよ」
「ほんま!?」
「ずっと前から、七海だけが好きだったんだ」
涙を流し始めたキミが、そこにいた。
ボクは慌てちゃって、あたふたとしてたっけな…
あれから一年、キミはボクの傍から離れていった…
ボクは待っているよ。
キミがココに戻ってくるのを…
いつまでも…
いつまでも……
キミが戻ってきたらまた一緒に花火をやろうね。
去年の夏にやったあの線香花火を…
END