青春 STORY

□幸せな日々
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「…って!また男かよ!!」

噂の可愛い新1年生は、また男だったんだ…
何故に可愛い女の子は来ないんだよぉぉぉ!!!!
にしても・・・
その噂の可愛い系の新1年は、去年の遼希のように、顔を赤くしながら行進していた。
そういうのが遼希と被って、可愛いと思ってしまう俺って…
入学式が始まって、まず校長の長〜い話が始まった。
そして、ついに遼希の出番がやってきた。
遼希の出番がくる直前、俺と謙二郎はやはり心配だったので、席を離れて舞台袖にやって来ていた。
舞台袖に来ると、遼希が緊張しながら出番を待っていた。

「は〜るきっ」
「あっ、謙ちゃん、郁哉くん!」

俺たちがやって来たのに気付いた遼希は、すぐ謙二郎にしがみ付いていた。
俺はふと遼希の足を見ると、ガクガク震えているのに気付いた。

「おいおい…大丈夫かよ〜?お前震えてんじゃん」
「駄目ぇぇ…心臓が爆発しちゃいそうだよぅ…」

遼希が情けない声で、俺たちに訴えてきたら、謙二郎が遼希の頭を撫でて落ち着かそうとした。

「…やっぱり、俺が代わりに…」

謙二郎がそう言いかけたので、俺は謙二郎の口を塞いだ。
理由は…謙二郎が遼希の代わりに挨拶をしたら駄目な気がしたんだ。

「ん〜…!ぷはっ!何すんだよ、郁哉!」
「謙二郎、それじゃ駄目だと思うんだけど?」
「は?」

俺は謙二郎の口から手を離し、今度は遼希の肩を掴んで真剣な顔で話し始めた。
遼希はかなり驚いてたけどね。

「遼希…お前がやるんだ。いつも謙二郎が助けてくれるってわけにはいかないんだぞ?」
「う、うん…でも、僕…」
「大丈夫!俺と謙二郎が、ここで見ててやる!…お前なら出来るよ」

俺がそう言うと、遼希は服の袖で目を拭き、出そうになっていた涙を拭き取った。
拭き終わると、遼希はいつもの笑顔でガッツポーズをしてきた。

「僕頑張る!だから…ここで見ててね?」
「おぅ!頑張って来い!」

遼希は大きく頷いて、舞台へと出て行った。
遼希が舞台へ出て行くと、謙二郎は俺に冷たく囁いてきた。
その時、俺は…久々に恐怖を感じたよ!

「お前…どういうつもりだよ」
「へっ?何が??」
「遼希があれだけ訴えてきてたのに…お前、意外に鬼畜なんだな」

鬼畜って!
お前のほうが、よっぽど鬼畜だぞ!?
俺は遼希に勇気を与えたつもりだったんだけどなぁ…
鬼畜なのかな?
俺たちがそんな話をしていると、遼希の挨拶が始まった。
あんな事言った後だったけど…やっぱり謙二郎に行かせればよかったかな?
挨拶をしている時の遼希は、やはり緊張の塊で、時々噛んでしまっていた。
しかし、遼希が噛むと、体育館内にいる女性は、皆して『可愛いぃ…』って口々に言っていた。
さすが遼希!
失敗しても、その可愛さで許されてるよ!
なんとか挨拶も終わり、遼希が俺たちの所へと歩み寄ってきた。
俺たちの目の前に来ると、遼希は謙二郎の腕の中へと倒れ込んでしまった。

「…よっぽど緊張してたんだな」
「とりあえず、移動させようぜ?ここじゃ、なんだし…」
「だな…郁哉、手伝え」
「おぅ」

その後、俺たちは遼希を保健室へと移動させ、そのまま遼希が起きるのを待った。
しばらくして、遼希は目を覚まし、俺たちは自分達の教室へと戻った。
教室に戻ると、担任が既に来ていて、新しい授業予定表などを配っていた。
今日は特に授業などもなかったので、俺たちは寮へと戻る事にした。
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