短いコトノハ駄文

□それは君と繋ぐ白いリボンのよう
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百目鬼はカバンから折りたたみ傘を取り出した時、不意に教師に呼び止められ用事を頼まれた。

「すぐ戻る」
一方的にいう百目鬼に「先帰る!」と答えるとみるみるうちに怪訝そうな顔をし、「必ず待ってろよ、でねえと身の保証はしねえ」と言い放つ。
低いトーンの声で言われて震え上がる四月一日。
「…なんだよ、あいつ…」


…しかししばらく時間が経っても現れず徐々に外も暗くなり不安になっていく。「手伝いでもしてやるか…」
と下足室から職員室の方へ足を向けた途端凍りつく。
ドロドロした嫌な臭いを放つアヤカシがこちらへ向かってくるではないか!
すぐに引き返すと向こう側からも同じものがこちらにやって来る。
「げっ」
仕方なく下足室に向かう。
ズルズルズル…。
水音と何かを引きずるような音。
“必ず待ってろ”と頭の中で響く百目鬼の声。その間にも四月一日との距離は縮まる。
「…百目鬼の阿呆!…畜生っ」
…もう外に出るしか方法は無かった。土砂降りの雨の中駆け出した途端、手が滑りカバンを落としたが放ろう余裕は無かった…。
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