長いコトノハ駄文
□水底の唄…後編…
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「…」
耳に圧迫感があって“水の中に墜ちたんだ”ってすぐわかった。
…体が沈んでいく。
ゆっくりと。
“…死んじゃうのかな?”って思った。
あの吸い込まれそうな…懐かしさのある碧の中に溶け込めるなら…いいのかな?って思ったよ。
『…いないの?』
…聞こえてきた声。
「…え」
頬をかすめていく気泡。
『…逢いたいヒトはいないの?』
「…」
『…あなたには…逢いたいヒトは、どんなに遠くても、無理でも…逢いたいヒトは…』
‡水底の唄‡
…苦しくて、酷く痛くて重くて…ただ沈むだけの身体。
“…逢いたいヒト?…”
脳裏に浮かぶ…侑子さんやマルやモロ、モコナ…ひまわりちゃん。
浮かぶみんなの笑顔。
…学生服の背中が見える。
振り向かせたくて手を伸ばした。
…届かない。
“……百目鬼”
視界が大量の泡に包まれた。
その後包み込むような光と、暖かい大きな手を感じた。