長いコトノハ駄文

□千の白珠…前編…
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「あ、四月一日くん!百目鬼くーん!」
先程までいた寺の門から出たところで…九軒ひまわりが蒲公英を肩に抱き笑顔で手を振っていた。




…『千の白珠』…………



「…あの鏡は色々な人の手に渡り、故あってうちがお預かりしてましてな」

和尚は庭に視線を落とした。
庭は立派な日本庭園になっており、季節毎に庭を楽しむようになっているらしい。
「どこでも不吉なことが起こり…うちに来た途端にそんな事もなく…」
座って聞いている二人…四月一日君尋と百目鬼静に視線を戻した。
「…ここで待っておったのですな、来るのを」
と二人に微笑みかけた。
「鏡も本懐を遂げることが出来たようです…お二方に礼をいいます」
「いえ…」
お茶を啜っていた百目鬼は頭をさげた。
「…あなた様はまた仏との縁を選ばれたのか」
と和尚は百目鬼に優しく微笑みかける。
「…導きなれば」

「とかくこの都は何が起きても不思議ではない所、用心なされよ」
「はい」
そう答える百目鬼の隣で四月一日は立派な庭に見入っていた。
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