長いコトノハ駄文
□月天心
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☆“月天心”
雲ひとつない漆黒の闇に一際輝く丸い天体…この月天心の空に散りばめられた幾多の宝石を見ていた。
天の宝石は実物と同じく色んな色彩があって…。
「キレイだ、…な」
見上げていた四月一日の口から無意識に飛び出した言葉。
優しく風が通り抜けて行く。
漆黒の闇と変わらぬ黒髪を揺らし、対照的な白肌を撫でていく風…。
それは、すうーっとした、何が抜けるような感じがした。
「風も気持ち、いい」
ひんやりとした風を受け、はだけ気味になった浴衣の胸元をなおした。
空を見上げて天の輝きを見つめた。
不意に、その一つが、流れた。
「…流れ星」
指でその後を追うようになぞった。
「…願い事はしたの?」
天を仰ぎ見る四月一日の後ろから…優しい声がした。