長いコトノハ駄文

□月天心
1ページ/29ページ

☆“月天心”


雲ひとつない漆黒の闇に一際輝く丸い天体…この月天心の空に散りばめられた幾多の宝石を見ていた。


天の宝石は実物と同じく色んな色彩があって…。


「キレイだ、…な」

見上げていた四月一日の口から無意識に飛び出した言葉。

優しく風が通り抜けて行く。


漆黒の闇と変わらぬ黒髪を揺らし、対照的な白肌を撫でていく風…。

それは、すうーっとした、何が抜けるような感じがした。


「風も気持ち、いい」

ひんやりとした風を受け、はだけ気味になった浴衣の胸元をなおした。

空を見上げて天の輝きを見つめた。

不意に、その一つが、流れた。

「…流れ星」

指でその後を追うようになぞった。


「…願い事はしたの?」


天を仰ぎ見る四月一日の後ろから…優しい声がした。
次へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ