長いコトノハ駄文
□紅葉のきみへ …前編…
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1、紅葉狩り
「久しぶりだな、静」
この日百目鬼静は久々に部活がなく自分の部屋でのんびりしていると、母親から
「あなたに電話よ」
と言われ、電話口に赴くと懐かしい声が聞こえてきた。
「明日紅葉狩りにいくからな。用意しとけよ。」
その人は一方的に言い、ガシャンと切った。
ため息ひとつ。
あの人は昔から変わっちゃいないなぁ。
自分に予定があるとも聞かないでと。
しかし明日に限って予定はなかった。
電話の声の主は…一条遮那(いちじょうしゃな)…百目鬼の祖父遥の弟子…というか手伝いしてた男。
わけあって祖父が預かっていた。
祖父が死んだ後は葬儀社に勤めているって母親が言っていた事を思い出した。
そんなこと考えてる間にまた電話が鳴る。
「百目鬼くん…、久しぶりね…」
声の主は“願いを叶えるミセ”の女店主壱原侑子で。
「明日出かけるでしょう?アタシも行って良いかしら?」
「どうぞ」
何の躊躇もなく彼女からの申し出を即受けた。
何故なら彼女が来るということは、彼女のミセで働く…あいつ、アヤカシを惹きつける血をもつ四月一日君尋がくるだろうから。
「明日、行くわね」
そう言って切れた。