短いコトノハ駄文
□雛様小噺
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「何だ?この箱」
久しぶりに“願いを叶えるミセ”の女店主から休みを貰った四月一日君尋は、大掃除の為、押入を片付け中に見たこともない、木の箱を見つけた。
「何だろ」
木の箱を開けると、埃が立ち、咳き込む。
「こりゃひどい」
明るいところに引っ張り出し、開けてみる。
「あ…」
その時、ガチャリと部屋のドアが開き、
「飯食わせろ」
と部活帰りの百目鬼静が入ってくる。
「ここは定食屋じゃねえ!家帰って食え!」
木の箱の蓋を持ちながら、叫んだ。
「何だそれ」
ずかずかと百目鬼は上がり込み、荷物を部屋の隅の定位置に置くと、木の箱を覗き込みにやってくる。
「…雛人形」
木の箱の中には、和紙に包まれた、男雛と女雛。
「お前のか?」
「んなわけあるか!」
百目鬼は箱の中に何かを見つけ、取り出した。