短いコトノハ駄文
□愛妻弁当
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こいつはいつも無表情だ。
しかも言葉が少ない。何を考えているかわからないことが多いし、つかめない。
エンジェルさんの件の後から徐々にわかるようになったことはある。
特に怒っているようなときは雰囲気でわかる。空気が重くなるのだ。
で今日もひまわりちゃんとこいつとおきまりの昼食。
こいつは一度だって美味いとか不味いとかがなくどんな気持ちで食ってるのか、知りたかった。
「四月一日くんの玉子焼きすっごく美味しい!」
「ありがとう!そう言ってもらえるとすっごく嬉しいよ!」
「鰻巻がいい」
「なんだとー!!」
せっかく作ってきてやったのになんて言いぐさだ!鰻は高かったんだよっ!
「ふふっ。百目鬼くんすっごく美味しそうに食べてるね。」
「あ?愛妻弁当だかんな」
うっ、げほげほっ!思いっきりむせてしまった
今何て言った?
愛妻?
「あのね…四月一日くんの作る食べ物って、すっごく心に染みるっていうか…こう…あったかい感じがして。……幸せって感じがするの。………そうだよね。百目鬼くん」
思いがけないひまわりの言葉に嬉しくなった。
「そうだな」
百目鬼はそういうと微かに口元をゆるませた。
もしかしておれの料理少しは気に入ってくれてるのかな?
明日は鰻高いけど鰻巻きにしてやる、ささみのからあげと三角稲荷と…ってこいつの好きなもんばっかりじゃん。
「おい、明日は茄子の揚げ浸しもいれろ」
「ぬわんだとーっ」
こいつにはかなわないなぁ…、そんな顔みたら作らないわけにはいかないよ
しゃーなぃ。
惚れた弱みってコトで