コトノハの箱

□四月一日くんの災難な日
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「ちょ…っ、何すんだ…はあっ」


室内に偶に響く高い声と、上がった呼吸。
そして衣擦れの音。

「や…、駄目だ、人が…ああ…ん」


「黙ってろ」


ジッパーの下ろす音が聞こえた。




此処は体育倉庫。

本日最終授業であった体育の片付けをしていた四月一日が(他のクラスメートはデートがあるとかで一人でやる羽目になった)引き戸を閉める音に気が付いて振り向くと、見慣れた人物が立っていた。

「百目鬼っ」

制服に着替えた彼は相変わらずの無表情で腕を組んで戸口に寄りかかっていた。

「部活あんならさっさと行けっ、邪魔すんな」

片付けをしながら手のひらを降る。

まだ整理はかかりそうで、着替えも出来ぬまま手を動かしていた。

何時まで経っても出て行かない百目鬼に不審に思った四月一日は戸口を見る。

「何しにきたんだよ!さっさといけっつーの」

手伝いもしない(されても迷惑)こいつにさっさと退出して貰いたかった。

コツコツと音がして、気にせずボールを籠に入れていると、いきなり腕を捕まれた。

「な」

次の瞬間、強い力で引っ張られて跳び箱の先に置いてあったマットに投げ出された。
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