長いコトノハ駄文
□倭文織(しずおり)の糸、綾織の糸
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壁に押し付けられたまま、目の前の彼に唇を奪われた。
荒々しい口づけが、徐々に優しくなり…その思考は麻痺してくる。
触れるだけの口づけは、唇そのものを優しく愛でるように撫で…吸い上げていく。
舌を吸われ、絡め取られた時には声が漏れて、百目鬼の肩にしがみついていた。
唇が離れたその合間に、彼はくすり、と笑った。
何か見透かされたみたいで恥ずかしく…顔を反らすと、
「四月一日」
耳に吐息が当たり、そして囁きかけてくる。
「な」
「前言った事…覚えてるよな、俺の清浄とやらの気を…この体に沢山擦り込むってな」
彼はそう言って口角を上げ…つつっと指を首筋に這わした。
「そ…!」
びくりっと体が跳ねる。
次の瞬間、彼がかりっと耳たぶを甘噛みしたのだ。
その刺激で、口に登りかけた言葉は滑り落ちていく。
「…っ、」
それだけで済むはずもなく、今度はその耳に舌を差し入れて…舐められた。
「…や」
耳の中に響く水音が余りにも生々しく、それは体を強ばらせてしまった。