長いコトノハ駄文
□倭文織(しずおり)の糸、綾織の糸
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「どこに行く」
そう言われ、
「あ、…お茶でも入れようかな…と」
百目鬼の家につくなり、彼の親は入れ替わり出掛け…今は百目鬼の部屋で何故か壁に押し付けられている。
「…ほら、喉渇いたし、先ずはお茶でも…と」
四月一日はしどろもどろで応えた。
部屋につくなり、着替え始めた百目鬼を残して…台所へと逃げようという考えは…甘かったらしい。彼が小豆色の作務衣に着替えている隙に部屋を出ようとした四月一日は、体を抱き込まれ…壁に押し付けられてしまったのだ。
「お茶はいい…お前は俺から離れるな」
近くに彼の顔がある為、彼が呼吸する度、首筋に吐息がかかり…妙な感覚にさせる。
「何言ってんだよ…同じ場所にいて離れ…」
無茶な事言うなと紡ぎ出そうとした言葉はあっさりと遮られ…。
いつの間にか…唇が奪われ、キスされているのだと気づいたのは、少したってからで。
「ん」
押し返そうと手に力を入れるが、全くびくともしない。
逆に、体を壁に強く押し付けられて身動きが出来なくなってしまった。